November 18111996

 牛鍋はすぐ出る料理さつと食ふ

                           児玉忠志

会だったら、まずは一点も入らない句。「小学生よりもヘボだ」などと笑われるのがオチだろう。でも、結構ヘンなおかし味があって、忘れられない作品だ。定食屋か何かの安い牛鍋である。古びた凸凹の小さな鍋ですぐに出てくる。そいつを「さっと食っちまう」のだ。いつまでもモタモタ箸を運んだりしていると、だんだんわびしさが募ってきて、どうもいけない。牛鍋には、たしかにそういうところがある。(清水哲男)




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