September 2891996

 霧よりも上で朝餉の菜を洗ふ

                           岡田史乃

代ならではの抒情。人が高いところ(高層住宅)で暮らしはじめてから、さほどの年月は経っていないが、なるほど、このように実感している人もいるわけだ。朝食を終えると、作者は霧の中へと出て行く。ここで霧は幻想の世界ではなく、むしろややこしい人間関係などを含んだ現実界の象徴である。『浮いてこい』(1983)所収。(清水哲男)




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