August 1581996

 烈日の光と涙降りそゝぐ

                           中村草田男

戦の日の句。この句の情感に、いまでも心底から参加できるのは、六十代も後半以上の人々だろう。あの日の東京はよく晴れていた。七歳だった私にも、それくらいの記憶だけはある。しかし、正直に言って、この句の涙の本質は理解できない。ただ、作者の世代の辛酸の日々を思うのみ。人間には、安易にわかったふりをしてはいけないこともある。『中村草田男句集』(角川文庫・絶版)所収。(清水哲男)




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