19960726句(前日までの二句を含む)

July 2671996

 あめんぼの吹き溜りにて目覚めけり

                           夏石番矢

めんぼ(う)は「みずすまし(水馬)」ともいう。飴に似たにおいがするので「あめんぼ(う)」。小川や池の水面に長い六本の脚を張って、すいすいと滑走する。しかし、じっとしている姿は、ほとんど塵芥の類に見えてしまう。そんな吹き溜りの境涯にも、人間と同様に寝覚めはある。微小な生物の目覚めを発見したところが、この句の眼目だ。『猟常記』所収。(清水哲男)




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