19960710句(前日までの二句を含む)

July 1071996

 わだつみに物の命のくらげかな

                           高浜虚子

前にあるのはくらげだが、「物の命」によって原初の命そのものを私たちは見ることになる。先行するものとして、漱石明治二十四年の句に、「朝貌や咲いたばかりの命哉」があるが、虚子はいわば、くらげによって命の句の決定版を作ってしまった。(辻征夫)




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